マルメッラータな日々
Le giornate delle marmellate
パンに,ケーキに、ブリオッシュに。
Con il pane, con la crostata e nelle brioche
マルメッラータとは、イタリア語でいうジャムのこと。語感的には英語のマーマレードにあたるものかな、と調べてみると、 イタリア語のmarmellataは英語のjam、marmaladeのどちらにもあたる。じゃ、ジャムとマーマレードの違いは? と食品大辞典を開いてみると、柑橘系の果物の、特に皮も一緒に煮込んだものがマーマレード、他の果物で作ったものがジャム、 というようなことらしい。たしかに、言われてみるとそんな感じだ。 というわけで、イタリアではジャム類全般をさしてマルメッラータという。
新しい家の敷地にはイチジクの木がたくさんあって、食べても食べても終わらないほど、今年は(って今年が初めてなんだけど)豊作であった。 おやつに、食後のデザートに、これでもかというほどイチジクを食べ、イチジクでお菓子を作り、それから生ハムを買ってきて イチジクと一緒に食べた。これは実においしいので、日本のみなさんもぜひ試してみてください。生ハムのしょっぱさ、 ねっとりした脂の味とイチジクの組み合わせは、個人的にはメロンとのそれよりもずっと合うと思っている。
それでもまだまだあるので、じゃあ、ご近所さんにおすそわけしようかと思ったら、イチジクの木はこの辺りではポピュラーなようで、 みなさんお持ちなのであった。うーむ残念。
仕方がないので,最後の手段。そう、ジャムにするのである。私のジャムはとてもおいしいと(家族から)評判なのでよく作るのだけれど、 今までは都会暮らしで、果物をわざわざ買って作っていたから、そんなに大量じゃなかった。ところが今度は捨てたくなるほどのイチジク。 とにかく、剥いて、剥いて、また剥いて。イチジクの汁のせいでアレルギー性主婦湿疹(手湿疹)の気がある私の手は痒くてしかたがなかったが,とにかく剥きまくって,鍋に入れ、砂糖も入れて、ジャムをいっぱい作った。 そのジャムをつけた、自家製天然酵母パンの朝ご飯は、とてもいい気分である。
イタリアの人は、朝ご飯にビスケットとカフェという人が圧倒的に多いようだが、pane e marmellata パンとジャムという人もいる。 パン&ジャム派の人も、イタリア人なのでバターはつけない。だからといってオリーブオイルもつけないから、イタリアの朝ご飯は 油脂がない分カロリーが低いかもしれない。 しかしイタリア人はマルメッラータが大好きで、朝ご飯だけでなく、パイの具としてもジャムを多用する。これはクロスタータ・アラ・マルメッラータなどと呼ばれて、アプリコット味、ベリー味など、様々な味がある。
それからバールで食べるおやつの定番「ブリオッシュ」もマルメッラータ入りが人気である。ブリオッシュといっても、おフランスの、 あのアントワネット様が物議を醸したというあれではなくて、見た目はクロワッサン風なパン菓子のようなものである。
これがvuoto(中身なし)、crema(クリーム入り)、そして marmellata(ジャム入り)の3種類ぐらいあることになっている。
イタリアに暮らして最初にお目にかかったときは、ぐえー、ジャム入りクロワッサン? と思ったものだが、かじった一口が焼きたてで、
中から温かいジャムがとろ?りと出てきたりすると、なかなかしあわせなおいしさに浸れるのです。
日本で増えているというイタリア風バールでも、おしゃれなものばかりじゃなくて、ちょっとダサいけどおいしい、こんな味も再現してほしいなあ。
これがvuoto(中身なし)、crema(クリーム入り)、そして marmellata(ジャム入り)の3種類ぐらいあることになっている。
イタリアに暮らして最初にお目にかかったときは、ぐえー、ジャム入りクロワッサン? と思ったものだが、かじった一口が焼きたてで、
中から温かいジャムがとろ?りと出てきたりすると、なかなかしあわせなおいしさに浸れるのです。
日本で増えているというイタリア風バールでも、おしゃれなものばかりじゃなくて、ちょっとダサいけどおいしい、こんな味も再現してほしいなあ。
文・宮本さやか フード・ジャーナリスト/イタリア トリノ在住