フルーツの季節がやってきた!Arriva il momento della frutta!
様々なフルーツの様々な食べ方Tanta frutta in tanti modi
初夏から秋にかけては、おいしい果物が満載のイタリア。イチゴにチェリー、桃、あんず、スモモにぶどう、イチジク、メロン、スイカ等など、あんまりおいしくて、ご飯なんか食べている場合じゃない! というほどだ。
中でも筆頭に私があげたいのは桃。特に日本ではあまりお目にかかることのない黄桃Pesca Giallaは、噛めばプリプリ、口の中に溢れるジューシーな味と甘い香りで、一度食べたら忘れられないおいしさ。
なにを隠そう、私はこの黄桃がまた食べたいばかりに、黄桃のシーズンが終わるとあともう一年、もう一年とイタリア暮らしを延ばしに延ばし、ついには16年も居ついてしまったほどなのである。黄桃のバリエーションで、歯ごたえのカリカリッとしたネクタリンや、アンズと黄桃をかけあわせたペルコーカもおすすめ。
なにを隠そう、私はこの黄桃がまた食べたいばかりに、黄桃のシーズンが終わるとあともう一年、もう一年とイタリア暮らしを延ばしに延ばし、ついには16年も居ついてしまったほどなのである。黄桃のバリエーションで、歯ごたえのカリカリッとしたネクタリンや、アンズと黄桃をかけあわせたペルコーカもおすすめ。
次に私が好きなのは、と個人的な意見にばかり走って申し訳ないけれど、あまりのおいしさに思い出すだけでも興奮してしまい、冷静で客観的な文章が書けないのだ。で、二番目に私があげたい果物は、イチジク。まず6月後半ごろから、日本では見かけることの少ない黄緑色のイチジクが出回り始める。外側は薄い黄緑色で、中は白く、中心部(花の部分)がピンク色と言う、それはそれは美しいお姿。それから少し遅れて、今度は日本でもポピュラーな黒イチジクが登場する。
黄緑色のイチジクは、味に当たりはずれもけっこうあるが、当たりに出会った日には、その甘く、香り高く、そしてとろける様な味わいは、得も言われぬおいしさだ。もう一個、またもう一個と中毒状態におちいってしまう。一方黒い方ははずれも少なく、安定したおいしさ、といったところ。
黄緑色のイチジクは、味に当たりはずれもけっこうあるが、当たりに出会った日には、その甘く、香り高く、そしてとろける様な味わいは、得も言われぬおいしさだ。もう一個、またもう一個と中毒状態におちいってしまう。一方黒い方ははずれも少なく、安定したおいしさ、といったところ。
他にもおいしい果物は山積みだが、さて、これらの果物をイタリア人は生で食べるのはもちろん、お菓子に多用する。筆頭に挙げた黄桃は、ピエモンテの代表的なデザートの一つ「ペスカ・リピエーナ」=詰め物入り桃のオーブン焼きに欠かせない。桃を半分に割り、種を取ったくぼみの部分に、アマレット(アーモンドビスケットの一種)を砕き、卵やチョコレートと混ぜ合わせた詰め物を入れて、オーブンで焼いたものだ。桃の香りと甘み、チョコレートの苦み、杏仁豆腐のような風味が混ざり合って、不思議なおいしさ。ひんやりと冷たく冷やしていただきます。桃はその他、前回のケーキの話で書いた「クロスタータ」と呼ばれるフルーツトルタやマチェドニアなどにも活躍する。
イチジクは、ナッツや黒砂糖と一緒にオーブンで焼いたり、クラフティやトルタと、どんなお菓子にしてもおいしい。そうそう、シェフをしている私の夫は、黒イチジクをバターとブランデーでソテーして、生ハムと一緒に食べる前菜を作ってくれる。甘く薫り高いイチジクと生ハムの塩味、とろけるような食感が生むハーモニーは、絶品。日本でもぜひお試しください。
イチジクは、ナッツや黒砂糖と一緒にオーブンで焼いたり、クラフティやトルタと、どんなお菓子にしてもおいしい。そうそう、シェフをしている私の夫は、黒イチジクをバターとブランデーでソテーして、生ハムと一緒に食べる前菜を作ってくれる。甘く薫り高いイチジクと生ハムの塩味、とろけるような食感が生むハーモニーは、絶品。日本でもぜひお試しください。
さてお菓子の他に、フルーツの食べ方で忘れてならないのはドライフルーツ、そしてフルーツのシロップ漬けだ。どちらも夏の旬まっさかりのものを干したり、シロップに漬け込んだりして、冬、特にクリスマスのご馳走として食べる保存食の代表格。だからちょっと前までのイタリアマンマは、春先から秋まで、いつも忙しかった。それぞれの野菜や果物が、それぞれの旬を迎える度に、保存食に仕込まなければならなかったからだ。「かった」、と私が過去形で書いているのは、最近のマンマたちは、あまりそういうものを作らなくなっているからだ。とにかく私が「マンマ・ドゥエ」と呼んでいる、私のイタリアのお母さんは、シロップ漬けをこんな風に作る。無農薬で育てた果物をよく洗って水けをふきとったら、たとえば桃など大柄の果物なら半割に、チェリーやプルーンならまるごと、煮沸消毒した保存瓶に詰め込む。家族みんなで食べるから、大きな大きな保存瓶だ。果物をぎっしりと詰めたら、砂糖と水1対1の割合で作ったシロップを瓶の7分目程度まで満たす。これを熱湯で30分から1時間湯せんで加熱する。こうすると、果物の歯ごたえを残す程度に火が通り、しかも瓶の中は真空状態になるので、長期保存が可能になるという具合。
クリスマスディナーの時にこれを開けていただく感動は、イタリア暮らしが16年になった今もちっとも薄れない。フレッシュな果物とはまた一味違うおいしさが、クリスマスの楽しさを盛り上げてくれる。
一方、多くの家庭ではクリスマスにはドライフルーツをいただく。今年の豊穣を感謝し、冬に備えて濃縮されたビタミンやミネラルをタップリ取ろうという意味があるという。ただしリンゴだけはクリスマスの日はタブー。アダムとイブの罪を思い起こさせるからだそうだ。
クリスマスディナーの時にこれを開けていただく感動は、イタリア暮らしが16年になった今もちっとも薄れない。フレッシュな果物とはまた一味違うおいしさが、クリスマスの楽しさを盛り上げてくれる。
一方、多くの家庭ではクリスマスにはドライフルーツをいただく。今年の豊穣を感謝し、冬に備えて濃縮されたビタミンやミネラルをタップリ取ろうという意味があるという。ただしリンゴだけはクリスマスの日はタブー。アダムとイブの罪を思い起こさせるからだそうだ。
文・宮本さやか フード・ジャーナリスト/イタリア トリノ在住