オンラインショップ シーキューブとは 店舗案内 商品一覧 お知らせ シーキューブ シーキューブ

Vol.6 ジェラートの季節がやってきた!

ジェラートの季節がやってきた!Arriva la stagione del gelato!

イタリア風ジェラートの楽しみ方Come si gode il gelato alla Italiana?

今年のヨーロッパは春の到来が遅くて、つい最近まで冬の様な寒さが続いた。と思ったら、ここ最近、春を飛び越していきなり夏のようなお天気。暑い! イタリアの夏といえば、海、バカンス、そしてジェラートである…と思っているのは寒いのが苦手な私だけで、イタリア人たちは春も秋も冬も、一年中ジェラートを食べる。寒かろうが雨が降ろうが、道を歩けばジェラートをなめながら歩く人に必ず出会う。子供も大人も、おじいさんもビジネスマンも、ジェラートが大好きだ。
ジェラートにもいろいろバリエーションがあって、乳脂肪分の高いクリーム系、つまりバニラとかチョコレート、ピスタチオ、チョコチップなどがいわゆる正統派ジェラート。一方、乳脂肪を含まず、フルーツベースの味のものはソルベットといって、暑い夏にはこちらも人気である。そういえば最近シーキューブから、買った時は常温で、おうちで 凍らせて楽しめるという「ソルベット」が発売になった。これで日本の暑い夏も楽しくおいしく過ごせそうである。
ジェラートの原型が生まれたのはローマ時代だという説がある。だが、その以前にも砕いた氷とフルーツを混ぜ合わせたものを食べていたり、聖書にも山羊のミルクに雪を混ぜて食べ、飲んだという記述があったりして、人間とジェラートのおつきあいは想像以上に長いのである。しかし、冷蔵庫もなかった時代にたいしたものだ。人類の食欲は不可能も可能にするのである。
そんな欲張り人類が生み出した最高においしいジェラートが、現代ではイタリアの各都市、各町で食べられる。とはいえ、材料にこだわり、製法にこだわったジェラートはひときわおいしい。ここ数年、イタリアでは高品質ジェラートブームが起きていて、自社の農場で栽培したフルーツと牛乳だけで作られるジェラートが自慢の店とか、様々なカカオの産地や含有率の違うチョコレートフレーバーだけの店などには、いつも行列ができている。
先日、娘を学校に迎えに行った帰り、暑いからジェラートでも食べようかということになった。いつもは9歳の娘が残すのに備えて私の分は買わないのだが、その日は私もジェラートを買った。なぜなら、先日通りかかったその有名ジェラート店には、イタリアではちょっと珍しいキャメルフレーバーがあったりして、気になっていたからなのだ。
「小さなコーンを二つ。一つ目はチョコレート味だけ。ちょっと少なめに盛ってください」。これは娘用だ。「もう一つのほうは、キャラメルとオレンジクリーム」。グランマルニエの風味をつけたオレンジの皮が入ったバニラ、というのにも惹かれたので、この2つのフレーバーを自分用に頼んだ。イタリアでは普通、一番小さなコーンまたはカップが2ユーロぐらいで、2種類のジェラートを入れてくれる。一番小さいといっても、日本でいうビッグサイズぐらいである。
ああ、おいしいねえ、と食べたものの、一番食べたかったキャラメル風味がちょっとしかのっていない。ちょっとがっかりだなあ、と私が言うと娘がこう言った。
「ママ、もしかして、キャラメルを先に頼んだんでしょう?」そうですけど、なにか? と私が問い返すと、娘はこう説明してくれた。
「イタリアではね、2種類頼むとき、後に言ったフレーバーを先に入れるから、コーンの下の方までたっぷり詰まって、先に言った方は後で上にちょこんとのるだけなんだよ」。
なるほど、人の心理として今聞いたばかりのことから仕事にとりかかるということか! 一方頼む方は、より食べたい味を先に言うのが人の情。そこをぐっとこらえて、食べたい味をそっと後で言う。これがイタリアでジェラートを楽しむ極意だったのである。わが娘とはいえ、さすがパパをイタリア人に持つ地元っ子、あっぱれ!














文・宮本さやか フード・ジャーナリスト/イタリア トリノ在住