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Vol.4 イタリア人とバール

イタリア人とバールL’italiani e i loro Bar

「エスプレッソを一杯」Un Caffe、Per Favore!

最近日本でもイタリアのバールがブームなようで、おしゃれな店の作りと本場顔負けのおいしいエスプレッソやカプチーノが飲めるお店も増えている。バールである以上、コーヒーがおいしいことが最優先事項なのは日本もイタリアも同じだが、イタリア人にとってのバールには、おしゃれ度よりももっと大事なことがある。それは自分の家や職場から至近で便利な場所にあり、お店の人間がSimpaticiシンパティチ(感じがよくフレンドリーという意味のイタリア語)で、そしてお値段がリーズナブル、ということだ。 なぜなら彼らは一日に何度も何度もバールを利用するからだ。
まずは朝食に。最近ではイタリアもヘルシーブームで、朝食にはフルーツやヨーグルトやシリアルを食べましょう!と盛んに提唱されているが、大半のイタリア人にとっての朝食とは「エスプレッソのカフェインで覚醒し、ビスケットや甘いパンで血糖値を上げ目覚める」という位置づけ。家では朝食を取らずに、仕事場へ行く途中のバールですますというイタリア人はとても多い。だからたいていのバールは朝の7時から開いている。目を覚ますだけでは物足りない、という人はカプチーノを飲む。
さて、朝食の後は午前のおやつタイムだ。朝食が軽くて小腹の空いたイタリア人たちは、ブリオッシュと呼ばれる、見かけはクロワッサンに似たジャムやチョコレートクリーム入り菓子パンや、コルネットというパイ生地のようなものを筒状にした中にクリーム類を詰めたものを食べ、エスプレッソを飲む。それはそれでおいしいのだけど、どこへ行ってもだいたい同じようなお菓子しかない。老舗の菓子屋さんが併設しているバールやカフェにはちょっと気の利いた菓子パンやトルタがあるのだけれど、そんな店は街に何軒もないので、シーキューブの、あのドライフルーツを使った 「ティンタ フルッタ」や、「ピアット フルッタ」みたいなお菓子があれば人気店になること間違いなしなのになあ。
そしておやつの後も、ランチに、午後のおやつに、夕食前のアペリティーボ(食前酒)に、そしてただ単にコーヒーを飲むためだけにイタリア人は一日中バールを利用する。多い人になると一日5回も6回7回もバールに寄ってエスプレッソをぐいっと立ち飲みし、ちょっとおしゃべりをして出て行く人もいる。感じがよくてフレンドリーな店員がいること、というのがイタリア人にとって行きつけバールの必須条件になるのは、三度の飯とカフェよりも好きかもしれないおしゃべりをするため、そういうことなのだ。
ところで、イタリア人にとってカフェ(コーヒー)といえばエスプレッソのことなので、わざわざエスプレッソをください、とは誰も言わない。エスプレッソ・ペルファボーレ、なんて頼み方をしたらもぐりなのがバレバレだ。「ウン・カッフェ・ペルファボーレ」、イタリア人がチャオの次にもっとも使うと思われるこのワンフレーズが言えたら、あなたも今日からイタリアの玄人である。













文・宮本さやか フード・ジャーナリスト/イタリア トリノ在住